岩手山   2038m  (滝沢市・雫石町・八幡平市)   ■Home
2014年9月13日 曇り後晴れ 柳沢(馬返し)コース〜御神坂コース メンバー5名
8:05柳沢登山口→11:00八合目避難小屋→(12:00-12:10)薬師岳山頂→12:40お鉢巡り終了→12:50不動避難小屋→14:55柳沢登山口→(15:30御神坂登山口)

盛岡ゆかりの詩人石川啄木が歌った「ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」は 郷愁を誘う詩として有名だが昔から信仰の山として南部地方のシンボル的存在である。 15年程前に家族旅行を兼ねて麓まで来たがたまたま火山規制のため登山を断念、ずっと心残りになっていた。 今回は三連休を利用して東北の沢登りを計画したが初日に雨の予報が入った為、日程調整を兼ね組み入れることになった。



                    

 
          
前夜、苫小牧発のフェリーで4:45八戸に到着するも、車が動き出すまで30-40分待たされちょっとイライラする。 近くのコンビニで腹支度、こちらのお握りは相変わらず美味い。 高速の途中で岩手山SAに寄ると青空の下にドーンと目指す山が聳え、 確かもっと端正な富士型だったと思ったがなかなかどうして良い山容だ、山頂展望が楽しみでワクワクする。 滝沢ICから登山口は近く、大きな駐車場にはバスを含め車が一杯で驚く、さすが本州の百名山は違うな・・。



                    

 
          
キャンプ場が併設された登山口には水場とトイレが整備されている。 案内板には山頂まで7本のコースと八幡平や秋田駒への縦走ルートが記されていた。 豊富なコースもさることながら山小屋の数が多いのに驚く。 さて散策路の様な緩やかな道を出発して漸く1合目かと思ったらまだ0.5合目の分かれ道で取り敢えず旧道を進む。 なかなか次が現れず2.5合目で再び分かれ道、青森からの団体に習い旧道を登って新道を下ることにする。 そして樹林帯を抜けると背後に田園風景と盛岡の街並みが望まれた。



          


岩ゴロの急坂が緩むと新道と旧道の合流点で、七合目の小さな祠からドームの様な茶色い山肌がドーンと見えてくる。 何となく北海道の樽前山に似た風景だが標高は倍あって山頂まで登り応えがありそうだ。 灌木とハイマツの向こうに避難小屋らしき建物と、その向こうに鬼が城と呼ばれる岩稜が聳えていた。          



                    

 
          
新しい8合目の避難小屋は一泊1700円の有料小屋だった。 避難小屋なのにお金取るの?って気もするが綺麗な水洗トイレや水場にビールが冷やされかなり快適そうである。 その先でyomogiさんが知り合いの外人と思いがけぬ再会、名前が出るまで「あっ!うっ!」の連発だったが山も世間も意外に狭い。 外観が石室の不動平避難小屋もなかなか立派で、 一足先にお鉢巡りを済ませて下りてきたkanaちゃんが小屋で待機することになった。 ここから山頂まで10分、外輪一周15分とのことである。



          


すっかり雲に覆われた外輪山に豆粒の様な登山者が大勢登っている。 いったいこの山全体で何人居るのか?北海道では紅葉シーズンの大雪山でたまに賑わう光景を見るが、同じ百名山でも随分違うものだ。 後ろの鬼が城(写真)の高さに並ぶと森林限界となり花の時期をとうに過ぎ殺風景な禿山への登りが始まる。          



          


ザレの急登に靴がずるずる滑って登り難いが15分程で外輪の淵に出ると柔和な表情の三十三観音仏が迎えてくれた。 たまに低山でお地蔵さんを見掛けることはあるがこんな高層での風景は初めてでちょっと面白い。 荒々しい火口底と壁を見ながら時計回りで赤さが際立つ山頂に向かう。 外輪の大きさは羊蹄山を一回り小さくした感じだが奥が深くて短時間で回れるそうもない。 のんびりペースで富山からの団体を追い抜くといよいよ賑やかな山頂が見えてきた。          



                    

 
          
ようやく一等三角点が埋まる岩手山(薬師岳)に到着、 広々とした頂だが先の団体も到着し人の数に気押される。 標識を背に集合写真もままならず火口に鎮座する円錐形の妙高岳(写真)を眺めながら暫しまったりする。 外輪の周囲は雲に包まれたままで朝方の青空も何処へやら、とても残念だ。 ふと山頂標識が裏表で抱き合わせになってるのを発見、裏手に回って祈念写真を撮り出発しようとするとみるみる下界が広がりだした。



          


すぐ下に黒倉山、赤倉岳、屏風尾根に囲まれた第二の外輪山とその中に小さな御苗代湖(おなわしろこ)の眺めに感激する。 明日登る予定の八瀬森の稜線も見えている筈だが場所が今ひとつ不確かで、 また山裾に水蒸気を上げているのは今晩宿泊する滝ノ上温泉にある地熱発電所だろうか? 山座同定できる地図を忘れちょっと残念だった。          



          


八幡平方面を鳥瞰する。 平野を蛇行する様に高速道路が延び、その何処かにこの山を眺めた岩手SAがある筈だ。 黄金色になった田園と森のコントラストが程よく、広い盆地に長閑な眺めが広がっていた。          



          


お鉢巡りも山頂からの急な下りを終えるとアップダウンの少ない歩き易いコースに変わる。 振り返って見る山頂の荒々しい岩壁、端正な妙高山とその山腹にぽつぽつと苔の様な岩など興味が尽きない。 周辺はケルンが積まれ殺伐とした賽の河原の様な風景だが お地蔵さんに見守られてるせいか遠くに登山者の姿を見るせいか寂しさを感じない。          



                    

 
          
地面から湯気が上がり硫黄の匂いを嗅ぐと突然、大岩の上に大きな宝剣を見る。 岩手山神社奥宮に到着、麓に幾つかある岩手山神社は参拝登山の入口として作られたそうでここが本社のようである。 安全登山を祈願して下山とする。 御神坂コースを下るメンバーと別れて元のコースを下山、車を登山口に回して程なくニコニコ顔の4名が降りて来た。 急坂でワイルドだがなかなか展望の良いコースだったらしい。 賢治や啄木が愛した岩手山、日程調整にしてはハードな山だったが景観、展望とも素晴らしく本当に良い山だった。 雫石のスーパーで買出しして滝ノ上温泉滝峡荘(リュウキョウソウ)に当宿する。 ここは山間の素朴な自炊宿でこんこんと湧く熱めのラジウム温泉が最高でした。


<翌日遡行した 葛根田川北ノ又沢〜秋取沢(明通沢) はこちら>



          










































inserted by FC2 system