日高主陵線から西に外れ山脈の展望台であるイドンナップ岳は北海道百名山にも選ばれ予てより気になる山の一つだった。
新冠ダムのゲートはお盆の時期だけ開放されていたが最近どうやら変わったらしい。
暑い時期に13時間掛けて尾根を往復するより沢からと思っていたがたまたま知人が同じルートを予定していたのでご一緒させて頂く。
山もさることながら初めての方との山行が楽しみでしかも誕生日をイドンナップ岳で迎えるとはこの上ない幸せである。
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沢中で雨にも拘わらず焚き火と宴会が始まった 翌朝、歩いて程なくc890・10mの滝に眠気が覚める 難所も無く、ぐんぐん高度を上げる明るい沢だった
7/10(土)雨 新冠ダム堰堤でメンバーと待ち合わせ森林管理署より借りた鍵でゲートを開ける。
シュウレルカシュッペ沢沿いの荒れた林道に入ると500mも行かず道が消えた。
雨は一向に止む気配が無く気分が乗らない。
メンバーは釧路・北見・帯広・旭川・札幌と遠くから集まり簡単に諦める訳にもいかず出発する。
右岸に古い作業道がとぎれとぎれに延び、ふと道端の野イチゴに目が留って暫し足が止った。
道は砂防で終わりそこから広い河原となる。
こじんまり澄んだ流れに魚影が走り竿を出したが空振りだった。
小1時間程でカンバの倒木にタモギタケが鈴なりだ!
今晩のおかずに少し頂いて大半をお土産用に残したが何と帰り見逃してしまった。
キノコは見付けた時にさっさと採っておくべきと肝に銘ずる。
610二股は良いテンバだがまだ時間が早く先に進むともう一つ適地がありこれも過ごした。
当てにした780三股は期待が外れ戻ろうか思案してるとIさんが草中に分け入ってテンバ作りを始めた。
多少傾いているが蕗の葉を敷き詰めテントを二つ並べる。
次は焚き火の準備で流木を集めたが濡れ木ばかりでどうにもならない。
普通なら諦めるところだがKさんの執念で着火に成功する。
それと同時にレストラン「イドン」の開店準備が進められた。
各々持ち寄った料理が手際よく並び、サラダ、豚汁、ジンギスカン、シチュー、タモギタケも一品を飾り豪華である。
傍らには大量のビールとお酒が冷やされ明日の登山はもうどうでもいい感じになった。
日が落ちると雨が止み、焚き火で服が乾いて暖かく寝れた。
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振り返ると新冠湖とリビラ山や貫気別山が見える 新冠町からは新冠富士が端正な富士型に見えると言う イドンナップ岳はこの長い尾根の先に隠れている
7/11(日)晴れ後曇り 3時過ぎに起床すると沢中はまだ暗く星が一杯だった。
二日酔いで辛そうなメンバーもいたが4時半に揃って出発する。
30分も経たずに10mの滝があり眠気が覚める。
次第に沢筋が狭まると屈曲部に雪渓が現れ次は何が出てくるかぞくぞくする。
1100m過ぎまで小滝が続きぐんぐん高度の上がる明るい沢である。
1300mではこんこんと冷たいイドンの名水が大量に湧き出していた。
ところがそこでぷっつり沢が途切れ?地図を出すとすぐ下の涸れた右股が正当だった。
戻ってこの沢を詰めると新冠富士の数十m手前まで沢型が続き、
振り返ると新冠湖がクリオネの形をなしていた。
沢型が切れても潅木の中は登り易く、やがてハイマツに代ると程なく夏道に合流し新冠富士の頂を踏んだ。
昨日とは打って変わって日差しが眩しい。幌尻岳にカムエク、遠くには1839峰も見える。
イドンナップ岳はどっしりした尾根の先でまだ1時間以上は掛かりそうだ。
道は踏み跡程度を予想したが枝払いされ、やがてチングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ等の花畑に迎えられる。
道脇にも数々の花が咲き長い尾根歩きを忘れさせる。
アップダウンを繰り返し次のピークが山頂かと思うがずっと奥にも立派な峰がある?まさかあれ?
全員初めての山で自信なかったが横たわる山頂標識に安堵する。
少し曇ってきたが日高山脈の展望台だ!
誰かのザックからエビスが出てきて乾杯、誕生日を山で祝って貰え幸せだった。
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登山路の傍らに隠れてた、1747三角点を見つける 登りトータルで8時間40分もうすぐ山頂、ガンバレ この大きなイドンの標識はどうやって運んだ?
<2013年6月 夏尾根〜イドンナップ岳はこちら>