美幌岳〜広尾岳〜ピロロ岳〜ポン楽古岳〜楽古岳 1120m・1231m・1268m・1365m・1471m 地図はこちら ■Home |
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5月3日 曇り時々雪 美幌岳(1120m・通称)から楽古岳まで二泊三日で計画する。 取り付きに関して過去同ルートを歩いたko玉さんより情報を貰ったが、 フンベ手前の二股から延々10kmほど林道を歩かされたとのことで気が気でない。 前夜、天馬街道にある除雪ステーションで車中泊し5時半に出発した。 予め楽古山荘に車をデポし、雪の融けた東広尾川林道を進む。 林道には小さなデブリが数箇所あったが雪を退けるなどして、 終端から1km内の所まで入れたのはラッキーだった。 すっかり沢の開けた東広尾川の渡渉で少し苦労したがまずは順調に北尾根に取り付いた。 |
ほっとしたのも束の間、みぞれに濡れながら腐れ雪の急斜面を登ってゆく。 笹を掴む手が冷たく、ザックが重さを増し、身も心も湿っぽくなって不快指数120%、 みんな押し黙って業のようである。 暫くしてyu子さんが「コッヘルを車に忘れた」ぽつりと呟くに至って、 撤退も脳裏をかすめたがとりあえず美幌岳山頂を踏んだ。 去年沢から登ったばかり、かつガスで何にも見えないせいか何の感慨も湧かない。 そして主陵線を1時間ほど歩くとハイ松の出たコルに差し掛かった。 日高側の源頭から吹き上げる烈風に前進を拒まれ、 仕方なく少し戻った稜上をテン場とした。 斜めっていまひとつの場所だったが1時間掛けて平らに均すとそれなりに立派なテン場になる。 寒いのでガソリンをばんばん焚くが濡れた体がなかなか乾かない。 コッヘルの代りに小さなカップで炊いた五目御飯がお腹に入った頃にようやく落ち着き、 8時半揃って就寝した。 |
5月4日 曇り時々晴れ 未明おしっこに出ると空がほんのりピンク色に染まり、 ゆるやかに弧を描く広尾の海岸線が望まれた。 やがて雲の上に朝日が顔を出すや、赤く染まった周囲の山々が白く輝き始める。 やったー!昨日のもやもやした天気を吹っ飛ばすような好天が期待され、 元気が湧いてくる。 ただシェラフが乾かず寒くて寝れなかったとテンションが下がったままのfu子さんがちょっと可哀相だった。 お茶を飲み、ラーメン食し、2時間半もテントでまったり過ごす。 ガソリンはこの時期なら大テントでも一日に1リットルあれば十分と見たが少し心もとなくなってきた。 |
両手に太平洋と日本海を眺めながら脊梁山脈を歩くのはぞくぞくする楽しさだった。 もっとも背骨と言ってもこの辺は尾てい骨辺りで一つ一つの山は迫力に欠くが、 それでも日高山脈らしい累々とした景観が続いている。 ただ天気が持ったのは午前中のみで3時間半ほど掛かって広尾岳分岐に着くと再びガスってしまった。 広尾岳は主稜線からちょっと外れた位置にあり展望台のような眺望を期待したが今回も残念、 分岐から空身でピストンしたら丁度1時間だった。 |
分岐に戻って主稜線縦走を再開するとガス中に岩稜がぼーっと現れたり、 細い稜線をトラバースしたり日高特有の少し荒々しい風景に気分が盛り上がる。 そして1188ピークに「三十八」と書かれた標柱を見つける。 これは日高主稜線で時々見かける境界石で目立つピークに立ってる場合が多い。 ただ今日はガスってその山容すら分からず残念、 ピロロ岳1268mの少し手前で早めにテントを張ることにした。 堅牢なブロックを1時間かけて積んだがこの夜は風が弱く穏やかだった。 サフランで香りと彩りしたご飯を炊きスープカレーを食す。 昨日も今日もいつも山で食べてる物と違い豊かで美味しい。 日が暮れると星空の下に広尾町の灯りが見え明日の天気が期待された。 一旦寝床の用意をしてから飲み直したが、 みんな疲れてるのかウイスキー500cc余して寝てしまう。 |
5月5日 晴れ後曇り 「やったー、天気が良いぞ!」kuさんの言葉に釣られて外に出てみると、 お〜息を呑むような素晴らしい景観が広がっていた。 昨日はガスで何も見えなかったテン場だがこんなに良いロケーションだったとは! ご来光が上がって海が光っている。 そして雲海に浮かぶ楽古岳を始めとする山々の眺望に目を見張った。 みんな出発準備と写真撮影に忙しく、 テントから出てきたfu子さんも今日はすこぶる元気そうである。 |
雪の緩まないうちに距離を稼ごうと5時半きっかりに出発した。 硬く締った雪にアイゼンが心地よく、ピロロ岳山頂へはテン場(写真左)からほんの20分足らずで到着する。 沢から登った時に手こずった笹薮やハイマツも 今はすっかり雪の下に埋まって広々とし、 三角点のあった位置さえ思い出せないほどのっぺりしていた。 山頂から海が見えるのは何とも贅沢!(写真右)、風が無くとても穏やかで360度の素晴らしい景色を堪能した。 |
ピロロ岳より南方風景を望む、辿ってきた陵線の左端に広尾岳、 奥には小さくなってしまったが美幌岳の尖がりが望まれる。 更に小さな二観別岳と本二観別岳や袴腰山が奥に控え、 ずっと右奥にはピンネシリ〜アポイ岳の山並も見えていた。 |
ピロロ岳より北方風景を望む、中央にこれから辿るポン楽古岳がどっしりした山容を見せ、 その後方に控える楽古岳の白く優美な山容に思わず見惚れてしまう。 割と近くに見えもう一息って感じもするが、ん〜まだ結構掛かりそうだった。 |
ピロロ岳を急降下(写真左)して暫くは陵線が少し細くなって右に雪庇が続く。 気を付けて歩けば全く問題ない稜線だが、 途中で足元の右下からごっそり雪の削げ落ちた雪崩の跡を通過する。 斜度はそれ程でもないのに厚さ3m以上ある壁のような雪がずり落ち、ハードスラブ雪崩の凄まじい光景に驚かされる。 そこから延々と下るコルがあり正面に聳えるポン楽古岳1365m(写真右)がやけに高く感じられた。 |
ポン楽古岳の登りでは息が上がって先を行くメンバーに離される一方だ。 ようやく登り切った頂には「三十五」番の標柱が埋まり、へろへろでザックの上にへたり込む。 ところがここはニセピークで山頂は緩やかな頂陵の数十m先だった。 本峰の方が少し高いが意外にだらっとした頂である。 谷底からガスが押し寄せ僅かな晴れ間に楽古岳と釣り尾根が望まれた。 さてアップダウンの稜線を辿ると十数cmの新雪に覆われ真冬の様に美しい風景である。 そしてときどき雲の切れ間から大きな楽古岳が顔を覗かせた。 |
釣り尾根の登りに入る頃、何処からか人の声が聞こえる? 向かいの尾根からこちらを呼んでるみたいだが「オーイ」と叫んでも反応なし。 目を凝らすと楽古岳の夏尾根に米粒の様な二人連れが登っていた。 楽古岳の直下はすこぶる急だが雪が柔らかくて幸い、 もしガリガリだったらかなりのストレスだったに違いない。 そして夏尾根から同時に登ってきたのは今回の縦走を知っていたtaさんとyoさんだった。 今朝たまたま同じ時間に小屋を出発したとかでこんなタイミングよく到着するとは驚くやら、 嬉しいやら、差し入れのビールがとても旨かった。 |
夏尾根を尻セードでどんどん下ると4合目くらいで登山路から雪が消えた。 急登で知られるこの夏道だが滑って気が抜けない。 でんぐり返ってヒヤッとする場面もあり、 この縦走で一番の核心だったかも知れない。 ニシュオマナイ川はすっかり開いて靴を濡らして山荘に到着する。 明日まで休みと云う事でここにもう一晩泊まることにした。 出発地のデポ車を回収に行くとタイミング良くアイヌネギが目に留まり・・・風呂上りのビールとジンギスカンに舌鼓を打つ。 翌日は朝から雨で、帰宅すると連休中は何処も雨に祟られ散々だったらしい。 初日のみぞれ雪には参ったが展望に恵まれ楽しい縦走だった。 <2012 西広尾川北面直登沢〜広尾岳はこちら> <2012 東広尾川北面直登沢〜美幌岳はこちら> <2011 西広尾川南東面直登沢〜ピロロ岳はこちら> |