2012年9月22-23日 メンバー11名
9/23 晴れ 13:00札内川ダムゲート→14:00札内川ヒュッテ→15:40六ノ沢出合→17:20C1・610m
9/23 晴れ後曇り 6:00C1→6:40南西面直登沢出合→9:50陵線1350m→(11:05-11:30)岩内岳→15:05C1→18:15札内川ヒュッテ→19:10札内川ダムゲート
日高山脈北部と中部の境界をなすエサオマントツタベツ岳から
東に大きな支稜が分かれ札内岳〜十勝幌尻岳へと続いている。
岩内岳はその稜線上にある1500m弱の山で、山名は岩内川(イワ・ナイ 山の川)の源流に位置することに依る。
戸蔦別川と札内川それぞれの支流が山肌に深い沢筋を刻み、
2008年に一本奥の西面直登沢からアタックするも滝だらけの沢で時間切れになった経緯がある。
取り付きまでのアプローチだけでも容易ならざる山だが、
今回はKoさんの日高全山登頂が懸かる山行ゆえ滅多なことで敗退する訳にいかない。
ルートは前回より易しい沢からだが札内川ダムから11kmの歩きを考えると流石に気が重くなった。
翌朝晴れ、六ノ沢のテンバより南西面沢に向う 南西面沢に入って程なく10mの涸れ滝を登る 左俣40mの滑滝に登行意欲が掻き立てられる
何時もなら札内川ヒュッテまで車で入れるのに去年から札内ダムで通行止めとは付いてない。
「去年より前にやってくれれば良かったのに〜」「どーして最後にこんなとこ残すの?」
ぶつぶつ呟く声が聞こえるが、後から自転車で追いかけてくるKoさんに届いたかは定かでない。
トンネルを一つ越えると雪崩で欄干の曲がった橋だったが、見た目はしっかりしてそうだった。
「夏場くらい通してくれたって良いべやな」「あれ、あんた横断道路に反対してなかった?」
文句の一つも出てくるほど退屈な歩きだった。
コイカク沢から暫くして二人が自転車で追いつき揃って六ノ沢出合に到着する。
夕暮れまで1時間ほどだが焚き火の出来る川原ならどこにでもあるだろうと広い札内川を渡渉し六ノ沢を進んだ。
ところがいざとなるとかなかが見つからず、とうとうゴルジュに差し掛かってしまった。
焚き火と宴会だけに来たメンバーには悪いが先に進むと、幸いゴルジュの中は水が少なく呆気なく通過できた。
そしていよいよ日が傾いて薄暗くなり脚を攣るメンバーも出て焦り始めると、
いい場所あったぞー!の声が届いてほっとする。
川岸にテントを並べまずは冷やしたビールで安着祝いする。
キムチ鍋に舌鼓を打ち、焚き火を囲んで語らい「燃えろよ燃えろーよ♪炎よ燃えろ♪・・」闇夜に歌声が響く。
結局いつ寝たか定かでないが朝方は寒くて堪らなかった。
翌朝6時、予報に反し快晴のもと11名で山頂を目指した。
南西面沢はのっけから伏流し巨岩と涸れ滝で趣ある渓相が続く、
やがて二股前よりちょろちょろ復活し水を汲む。
左股に入るとすぐ40mはあると思われる滑滝が現れた。
取り付くとつるつるの逆層で慎重に足を運ぶ、
滝にいるのはMaさんと二人だけで他のメンバーは左岸の尾根を登っている。
このまま暫く沢組と尾根組に離れ離れという気がしないでもない。
無理して滝を登るのを止め尾根にいるSaさんよりお助けを貰って急斜面の藪に逃げることにした。
するとそこには明瞭な鹿道が急な尾根に延びて大助かりである。
結局、沢身に戻らず獣の集団になって藪の道に登行を重ねた。
時折沢筋に垣間見える滝が気になるが今回はピークハント優先なのだと納得する。
それにしても急な尾根で、鹿道がなければ登り続けるのは到底無理に思われた。
時々岩場が出る度に鹿道が消えると再び何処からともなく鹿道が出てくるを繰り返し、
流石に山登りは鹿の方が一枚上手だと歓心する。
高度計が面白いように標高を刻み、背後にはどっしりした中岳1628m峰の横にカムエクらしき頂きが望まれた。
この中岳も気になる山だが当然のようにKoさんは残雪期にピークを踏んでいた。
日高全山登頂を拍手で迎えられるko玉さん(中央) 目を付けたアナタケの他にもう一つ大物ゲットする 六ノ沢のゴルジュは水が少なく通過が楽だった
陵線が近づくと残念なことに雲が広がり出して青空がどんどん消えていく。
しかも尾根が緩むと覚束ない鹿道となりペースが落ちた。
それでも出合いから陵線の肩まで3時間で済んだのは上出来である。
肩からピークまで所々に岩が出たり切れ落ちたりして僅かな距離に1時間を要した。
最後の高みを目指し藪を分けると立派な三角点がある山頂に到着、全員の拍手でKoさんを迎えた。
缶ビールがあちこちのザックから出てきて日高全山登頂を祝福すると共に、めったに登れぬ岩内岳を落とした感慨に浸った。
潅木に囲まれた狭い山頂からの展望は得られなかったどのみち雲に覆われてると思うと諦が付く。
さて長かった道のりを考えると長居もできず往路を戻ることにする。
上から見ると転がり落ちるような急斜面が続き、要所に吊るしたピンクテープが有用だった。
朝は気付かなかったが六ノ沢の川岸に鹿道が延びて坦々とテンバへ戻る。
明るい内に札内川の徒渉を終えると気が少し軽く、
日が落ちるとあっと言う間に暗くなりヘッデン燈して車に戻った。
長い歩きが加わったお陰で記念山行らしい楽しい思い出になりました。