三笠新道〜白雲岳〜東岳 2230m・2067m (上川町) ■Home |
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文豪大町桂月を「富士山に登って山の高さを語れ、大雪山に登って山の大きさを語れ」と感嘆させた大雪山、 まだ登ってない山が一杯あって嬉しい。 白雲岳もその一つ、旭岳やトムラウシ山に並んで多くの登山者が訪れる有名な山だ、 折角なら好天と花を狙って三笠新道から登ってみることにした。 |
5時前、朝霧から朝暘の射し始める高原温泉を出発する。 お化けの様に大きくなった水芭蕉を見ながら雪解けの進んだ沼巡りコースを辿る。 雪渓が出るまで沢沿いにアップダウンを繰り返し、空沼の北にある噴気孔からようやく雪の上を歩く。 高根が原の東斜面に残る雪渓も前回の半分だ、尾根に向う先行者のトレースを追ったら親子クマの足跡だった。 |
どっしりした緑岳を望みながら高根が原へ抜けると雪渓が消え、冬から夏の景色に様相が一変する。 背後には北大雪の武利岳・武華山〜東大雪の音更山・石狩岳・ニペソツ山などの眺望が素晴らしい。 |
高根が原から白雲岳に向かう従走路には登山者の姿がちらほら見られ、その中に大型カメラを三脚にセットして構える人もいる。 ホソバウルップソウが見頃でいきなりスターの登場に気を良くする。 ウルップソウとハクサンイチゲのコラボの向こうには忠別岳とトムラウシ山が望まれ、大雪らしい広々とした風景に見とれる。 |
緑岳から小泉岳に向かう登山者の姿がビーズのように小さく見え、 白雲岳がいよいよ大きな山容で近づくと白雲小屋の赤い屋根が見えてくる。 花は前回より進んでイワウメの群落が見事だった。 |
白雲岳には非難小屋を通らず、東面の沢筋に残る雪渓を直登することにした。
これで30分以上は短縮できそうだ、下を見ると我々のトレースから二人連れが登ってくる。
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上は雪解けが間もないためエゾノツガザクラ等が開花しているが全体的に花はこれからだった。 登るに従ってイワウメが蕾になり、終わりかけのミネズオウが元気を取り戻してフレッシュである。 |
岩場を登り切って外輪の淵に出ると中は旧噴の跡と思われる広い窪地になっていた。
ここが時期になると幻の沼が出現する場所か?
中は少し抜かるんでるがイワウメとミネズオウの草原が広がり、今回もウスバキチョウを見ることができた。
そして外輪の一端にある初ピークを踏む、何と後から登ってきた二人連れは顔見知りのSさんだった。
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トムラウシ山は雲の中に隠れてしまったが旭岳から間宮岳、北海岳にかけて見事なゼブラ模様が出来ていた。 青空の下でカムイミンタラを眺め暫しまったりする。 |
さて続けて未踏の東岳に向かうとする。 白雲岳の山頂付近からは谷間越しに稜雲岳や黒岳、赤岳が顔を覗かせ、 そして去年登った烏帽子岳2072mが存在を誇示するかのように尖がっていた。 |
白雲岳の外輪から小泉岳に向かう登山路脇はエゾオヤマノエンドウとキバナシャクナゲの彩りが綺麗で全く退屈しない。
そして登山路の分岐には小泉岳2158mの新しい山頂標識が立っていたがあまりに平坦で山らしくない。
山名は大雪山の父と呼ばれる植物学者小泉秀雄に因り、チョウノスケソウが一輪だけ咲いていた。
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沢沿いに広がる残雪を伝い、巨岩の積み重なるマイナーな東岳2067mを踏む、 一番高い岩が今にも崩れ落ちそうでちょっと気持ち悪かった。 |
東岳からは北大雪の山々が間近に望まれたがあっと云う間に雲が広がり出す。 |
キバナシャクナゲとミネズオウのコラボ、 緑岳が近くなるとエゾコザクラとメアカンキンバイが咲き始めたがコマクサはこれからだった。 雨がぽつりと落ち始め、緑岳の第二・第一花畑に広がる雪渓を急いで下山する。 |
高原温泉には人馴れした鹿が悠然と歩く、鹿で良かった熊なら大変だ。 大雪高原山荘は折角良いお湯なのに温度管理がまずいのかぬる過ぎて芯から温まれない。 それでも念願の白雲岳では素晴らしい眺望と花に迎えられ、またマイナーな山も踏めるなど満足な二日間だった。 |