富良野オートルート 残雪期スキー縦走 (富良野市)    ■Home
    北の峰〜富良野西岳1330m〜布部岳1338m〜松籟山1284m〜御茶々岳1331m〜極楽平〜槙柏山1184m〜十八線川
    2012年4月21-22日 メンバー6名
    4/21 晴れ 9:30北の峰リフト終点→(11:10-11:20)富良野西岳→(13:00-13:10)布部岳→(14:50-15:00)松籟山→15:25・1230mC1
    4/22 晴れ 6:30C1→(7:40-7:55)御茶々岳→極楽平→(8:40-8:55)槙柏山〜10:25温水地

北の峰から芦別岳は昔からの縦走ルートだが最近はあまり歩く人がいないようだ。 このルートの魅力はロープウエイを使って稜線に出ると登山道のない山々を一気に踏破できることである。 地元では「富良野オートルート」とも呼ばれ、計画すると願ってもないピーカン予報になる。 テントを背負ってこの「オートルート 高き道」をのんびり堪能してみたいと思う。
          


早朝、富良野スキー場で待ち合わせると布部岳まで日帰りするというK山岳会の数名と行き会った。 途中まで一緒に行動できると思うと嬉しく、 急いで十八線川林道に下山用の車をデポして9時始発のロープウエイに乗り込んだ。 山頂駅で入山手続きを済ませ、更に1本リフトに乗るが重いザックを半身で担いで乗り降りできるか少々緊張した。 何せザックの中身は今晩の飲み物が一杯で破裂でもしたら大変である。 北の峰から続く陵線には相変わらず雪庇が張っていたが数年前の半分以下で可愛らしかった。          
          


富良野西岳の鞍部でK会パーティーと別れ、ツボになって山頂を目指した。 ルートはほぼ夏道沿いに登るが雪が緩んで一人スキーで出発したY住さんの方が早く着きそうである。 雪庇の張り出す頂陵に出ると一気に展望が開け、 眼下には喉かな布部の町並みが広がり背後にはまだ真っ白な芦別岳と次に登る布部岳が見えていた。 山頂標識の傍で先に着いたYさんが手を振っている。          
          


前に来たときは足元から新雪がスパスパ切れて気持ち悪かったがこんな快晴にリベンジできるとは思ってもいなかっただけにとても嬉しい。 南北に長く東西に狭いこの山は麓の布部の町から見るとずんぐりした台形状だが 中富良野方面からは隣の芦別岳と見間違うほどの鋭鋒で、 この切れ落ちた陵線を見ると納得がいく。 雪庇がでかかったら怖いだろうなと思いながら慎重に往路を下った。          
          


富良野西岳の裾を巻いてやや入組んだ地形を進むと南北に長い布部岳が近く、 その北尾根にK会のツボ跡が延びていた。 上部は黒々とした岩壁を張り巡らせ何となく取っ付き難そうに思えたが 近くから見るとそれほどでもなくほっとする。 北尾根の西面には下からずっと木が生えてるのでこれを登るのが無難である。 だが縦走する身にはそこまで行くのが面倒で様子を見ながら東の裾を巻いた。 暫く進むと稜線の雪庇が崩壊したデブリが見られ、 その切れ間を目掛けダイレクトに登れそうである。 ザックとスキーをデポし急斜面を100mほど登るとどんぴしゃ山頂だった。          
          


布部岳は今回巡る五山の中では一番手強いと思っていたが意外にあっさり登れて嬉しい。 山頂の南端からは中天狗、小天狗、夕張中岳、シューパロ岳など 裏に隠れて普段目にすることの出来ない奥芦別山塊の展望が良く、その中で未踏の小天狗が気になった。 さて急な斜面だが後ろ向きになる程でもなく直下さえ気を遣えばあとはザクザク下れる。 急斜面を余裕の面持ちで下るMさんは中腹から尻滑りを楽しんでいた。          
          


再び重いザックを背負って歩き出す。 1168ポコを巻くと陵線というよりなだらかな尾根が広がり、やがて松籟山(しょうらいさん)のピラミダルな山容が見えてきた。 小粒ながら見事な三角錐でぴり辛そう、雪の柔らかい内に登ってしまいたい。 取り付きから急な斜面を潅木を頼りに股まで雪に埋まりながらの登行となる。 中腹を越えると背の低いハイマツが出て楽になり、 上から早々と「山頂とうちゃ〜く!」の声が聞こえた。          
          


「おー良い眺めだ!」狭い松籟山の頂からは芦別岳の迫力ある山容が近づき思わず感嘆の声が上がる。 懐かしいハイマツの匂いに佇みながら辿った二山と奥芦別山塊の山々に飽きぬ展望を楽しんだ。 山頂の裏側には下降ルートの十八線川源頭が落ち込み、沢筋の先に雪解け前の白い田園風景が広がっていた。          

辿った富良野西岳と布部岳に続く広々した稜線を眺め暫しまったりする。 富良野オートルートとはよく言ったもので開放感ある素晴らしい景観である。 さて今夜のお宿は中天狗岳の見えるポコ辺りになりそうだ、 夕焼けと御来光が見える絶好のロケーションを探すとしよう。          
          


当初はゆるゆる山行の筈だったがテントを設営しブロックを積んだりしてると結構良い時間になっていた。 周囲は茜色に包まれやがて中天狗に日が沈む。 満天の星の下でたき火をしながら酒を飲み、何ともまったりと贅沢な時間を過ごした。 テントに入って20時半まで記憶があったが・・・朝までたっぷり熟睡させてもらいました。          
          


翌朝、Kさんの声に促されて外に出てみると十勝連峰に御来光が上がっている! 連日よいお天気に恵まれた。 朝は風があり昨日ちょっとした窪地にテントを張って正解だった。 ガリガリの雪面に変わってしまい松籟山を昨日の内に登ってよかった。 残していたらアイゼン・ピッケル無しでは登れなかったと思う。 昨夜余ったカレーでインスタントラーメンを作り腹ごしらえする。 今日は御茶々岳と槙柏山を登るだけと思うとかなり気が楽でのんびりした出発になった。          
          


気になる極楽平と言うのはあの白い台地のことか、近づくとなるほど 松の樹間より山々を眺め気分良く過ごせそうな場所だった。 この緩やかな台地からは二つの小天狗の間に崕山の特異な脊陵が思いのほか近くに望まれた。 そして左端のポコのような御茶々岳をゆっくりと登っていくと・・・          
          


芦別岳の大きな山容がどーんと眼前に迫り、奥にはこれまた迫力ある夕張中岳が連なっていた。 御茶々岳の思いがけぬ大展望に感激し「おーいお茶」といきたかったがザックから出てきたのは 缶ビールだった!つい朝からプッシッとやってしまった。 山頂でシールを外し槙柏山とのコルまで束の間の滑降を楽しみ、 そこから空身で槙柏山に登ってくと小さなポコだった御茶々岳が写真のような立派な山に変身していた。          
          


槙柏山の山頂は黒い岩塔の奥にあり、陵線に出ると芦別岳本谷と夫婦岩の眺望が素晴らしい! 御茶々岳が芦別岳の展望台ならここはさしずめ芦別岳本谷を展望する山で深く切れ込んだルンゼや岩稜の連なる景観に圧倒される。 雑木をかわして東端の山頂へ到着、五山完踏できて満足する。 槙柏という銘木・古木の名が付いた山だがどれも邪魔な雑木にしか見えないのが残念だった。          
          


十八線川の下降は前回とてもスキーが滑って楽しみだったが、 流石にこの気温で雪が腐り足がヨレヨレになる。 でもスキーの下りはそれなりに楽しく1時間掛からず渡渉箇所に到着、 幸いしっかりしたSBが残っていた。          

スキー場に戻る道路からは今回登った山々が一望でき思わず車を止めた。 思い出に残る楽しい山行を終え満足感で一杯になりました。          
<2012年4月 富良野オートルート 大きな写真はこちらから>
<2011年の十八線川ルート〜夕張中岳はこちら>
<2011年の芦別川西面直登沢〜シューパロ岳はこちら>
<2011年の尻岸馬内川北東面直登沢〜中天狗〜同東面沢はこちら>





inserted by FC2 system