エサオマン〜春別岳〜カムエク 縦走 1902m〜1855m〜1979m
(中日高)
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2005年9月中旬 晴れ
総時間26:25(休憩含)
1日目:札内ヒュッテC0→エサオマントッタベツ川入渓7:00→北東カール12:15→エサオマン山頂14:10→札内JP15:00→1760峰(C1)16:30
2日目:(C1)6:35→ナメワッカ分岐7:50→春別岳8:55→1917峰10:45→1855m12:55→1903峰13:30→カムエク(C2)15:30
3日目:(C2)7:00→ピラミッド峰8:00→八ノ沢カール8:50→八ノ沢出会11:45→七の沢出合13:40→道々P15:00
23時、札内ヒュッテに着くと一名休んでいたので車中泊する。
翌朝身支度を済ませトンネルを抜けたゲート前に一台デポしもう一台で戸蔦別林道へ向かう。
先日の台風による増水で札内川はいいだけ濁って川に入るなど問題外だ、
はたしてエサオマントッタベツ川がどうなってるか気になる。
エサオマントッタベツ林道の分岐には立ち入り禁止のロープが張られていた。
橋から沢の様子を覗くと水量が多く徒渉はかなり厳しそうだった。
林道は川のように水が流れ、下から沢音がごうごうと響いている。
半ば入渓を諦めながら終端まで行ってみると増水してるが何とか入れそうだった。
エサオマン山頂から大きな幌尻と戸蔦別岳を望む 札内JPから一日目のテンバ1760ピーク 1760ピークでのご来光、左端は十勝幌尻
いつもは枯れてるような小沢から結構な水が流れ込み、本流は30cm程水かさが多い。
渡渉は股下ぎりぎりで勢いがあり慎重に足を運ぶ、二股上部の長い滑滝も川幅一杯に水が流れていた。
北東カールで水5リットル汲み一休みしてるとカールバンド中央の一番急なルンゼに先行者が二名いる。
手こずってるのかなかなか降りてこない。
我々はその左隣のルンゼから稜線に出たが岩が脆く落石注意だった。
ザックをデポし空身でエサオマンの頂を踏むと幌尻を始め日高の大展望が待っていた。
草木は色づき始め、黒豆やがんこうらんの実を頬張ってもう一と踏ん張り、
札内JPを経て今日のねぐら1760峰へと向かう。
東斜面の笹薮の中にかろうじて踏跡が残り見失うようなことはないが這松が覆いって歩き難い。
殆ど藪漕ぎと言っていい所もありようやく1760峰へ着くと2張り分のテン場があった。
風が強く5分ほど下ればもっと良いテン場かあるらしいので更に這松を漕いで行ってみたが見つからず引き返す。
テントに入ると絶妙のタイミングでポツポツ雨が降り出した。
夕飯はご飯の硬いカレーライスになってしまった。
夏用の薄いシュラフとシュラフカバーで寒く、夜半過ぎまで風雨がテントを揺らし続ける。
1760ピークから左端エサオマン中央は札内JP 1760ピークから十ノ沢カールと春別岳、遠くカムエク 中央のナメワッカ岳と遠くイドンナップ岳
翌朝、外を覗くと東の空が真っ赤に燃え勝幌が大きなシルエットになっていた。
角田さんを起こして外に出ると雨上がりの澄んだ空にご来光が上がり十勝側の主稜線が浮かび上がっている。
北はエサオマンの横に1967峰〜北戸蔦別岳〜戸蔦別岳〜幌尻岳と北日高の山々が連なり、
南はこれから歩くカムエクへの細い稜線が険しさを際立たせている。
なんとも素晴らしい景色に思わず感嘆の声が上がった。
アルコールと食料が減って少し足どりも軽くまずはナメワッカ分岐を目指す。
昨日探せなかった1張り分のテン場が中間のコルにあったが眺望はいま一つだ。
分岐の先にナメワッカと奥のイドンナップがとても大きく見える。
イドンナップ岳は見るからに広い稜線で新冠富士から山頂まで遠そうだ。
這松漕ぎはカムエクに向うほど楽になり、枝向きから進む向きはサオマン→カムエクで正解だった。
1831から細い稜線を経てなだらかな春別岳のピークを踏む。
十の沢カールはガレ岩が堆積し、垂直に切り立つカールバンドは人を寄せ付けない感じである。
1719ピークを越えると1917峰へ恐竜の背の様な岩峰が続く、
足下が切れてる箇所もあるので滑落したら一大事である。
漸く1917峰に着くと真正面にカムエクが雄々しく聳えている。
日高で最も険悪な沢の一つと言われる直登沢が山肌に刻まれ、
まさに日高の盟主と呼ぶにふさわしい山容に見飽きることがなかった。
1903ピークから1917峰と九ノ沢カール カムエク北東面の険しい山肌に暫し見入る ピラミッド峰からカムエクと八ノ沢カール
転じて九ノ沢カールは穏やかなたたずまいを見せている。
福岡大の熊事件を思い出し雄叫びをあげる。
1917峰に1−2張りの快適とは言えないテン場、そして1732コルに3張り程度のテン場がある。
1855mの小ピークから空身で主稜線から外れた1903ピークをピストンする。
時期を逸したお花畑に僅かな踏跡が確認できピークから九ノ沢カールと八ノ沢カールを見下ろす。
主稜線に戻ってコルを過ぎるといよいよカムエクへ最後の登りとなる。
真新しい熊の掘り返しと落し物の数が凄い、そして這松の先50mに熊がいた。
大きな顔にピンと立った小さな耳が印象的で瞬時に反転し山頂方面へ姿を消したが、これから進む方向で何とも厭らしい。
カムエク山頂直下のテン場は遮るものの無い絶好のローケーションで心地良い。
夕刻より再び雲に覆われ翌朝のご来光を期待し夕飯の支度とする。
良く焚けたご飯とマーボ茄子は量が多過ぎ、
程よい疲れとアルコールでバタンキューだった。
三日目の早朝、カムエク山頂のテン場から南日高を望む。遠くは楽古岳と左に広尾岳まで見通せた。
翌朝またも快晴!カムエク山頂でのご来光に感無量の境地である。
それにしても凄い眺めだ!南方は1839峰をはじめ視力検査が出来るほど隅々まで見える。
転じて北方は大雪・東大雪・十勝連峰や夕張岳まで見えてまさに主稜線のど真ん中に居ることを実感する。
時間に余裕があるので隣のピラミッド峰に寄り八ノ沢カールへ降ると福岡大生のレリーフが真新しくなっていた。
当時の事件は「カムエクの教訓」というサイトで詳しく知ることができる。
八ノ沢はまだ水量が多く、札内川本流が気になったが登ってきた2名によれば
「昨日は腰まで浸かったが今日はもう大丈夫だろう」とのことで一安心する。
七ノ沢出会いからの道路は数箇所崩壊して1時間20分必死に歩いて車に着く。
いや〜素晴らしい山行だった。稜線上のテン場 札内JP×2 1760峰×2 1666コル×1 1917峰を少し下る×1 1732コル×3 1855×1 カムエク×3
この他にも途中何箇所かあったが位置は定かでない。
カムエク〜1823〜コイカク縦走はこちら