ヌタプヤンベツ川〜忠別岳 1963m(上川町・美瑛町) ■Home |
---|
ヌタクヤンベ林道は崩壊のため通行止め、ゲート前に車を止めて出発する。
沢靴のメンバーは登山靴を背負ってるので結構な荷物だ、
自分はスパイク地下足袋なのでそのぶんロング缶6本と焼酎1Lを持って来た。
沢は前半だらだらしたゴーロでさっぱり標高が上がらず、鹿道を探しながら辿る。
気掛かりな天気は時折小雨がぱらつく程度だがじっとしていると湿った体が寒くなってくる。
そうこうしながら1374mの二股を過ぎると小滝を伴った巨岩帯へと入り漸く沢登りらしくなってきた。
|
数mクラスの滝群でどうやらこの沢の核心は終わったようだ。 (F1?は残念なことに鹿道を探してる内に高巻いてしまったらしい) 途中、沢の奥に記された割と大きな名無し沼を訪ねてみる。 湿地を100mほど辿るとほんのり色付き始めた景色の中に静かな湖面が広がって、 何だか大雪山の秘密の場所にでも来たようで嬉しい。 |
源頭が近づくとあちこちから湧水が見られ、特に右岸には目に鮮やかな苔の群生が素晴らしい。
緩やかな流れの脇にはミズバショウの群落にワタスゲが揺れて何とも雰囲気の良い所だ。
そして小川が流れる草原の先にこじんまりした三角屋根がぼわっと現れた。
見かけより奥行きがあって30人位は入れそうだ、
中には環境省のボランティア数名と先行したグループが待っていた。
二階は知った顔触れが揃い野菜鍋を突きながら和やかな懇親会となった。
|
翌朝は小屋でまったりガスが消えるのを待ったが諦めて2グループ一緒に出発する。
この時期にまだ残る雪渓を登るとチングルマの綿毛に混じって小さな花が咲いていた。
尾根には水玉を付けた色鮮やかなナナカマドの葉や、白い苔と赤くなったクロマメの絨毯を眺めながら山頂を目指した。
|
青空が望まれ期待を持たせたが山頂では再びガスに覆われてしまう。
忠別岳とはアイヌ語で(チュプ・ベツ 波立つ・川)の他に(秋の・川)の意味もあるが、寒くて後者の方がしっくりする。
山頂ポールに刻まれた山名が自分の名前と同じせいか、だんだんお墓に見えてくるから不思議だ。
後からやって来た環境ボランティアの人に「ここに散骨してもいいか」と聞いたら「はいどうぞ」と乗りの良い答えが返って来る。
そして下る途中、トムラウシ山から漸く雲が取れ、五色岳の色付く山裾に忠別小屋が見えていた。
|
草の絨毯に寝っ転がってあでやかに彩られた裾野と雲の下に高根が原の稜線を眺めてまったり、
東大雪や然別周辺の山々も山座同定が楽しめるまでに回復してくれた。
紅葉はもう一週間か10日後の方が良さそうだが緑と紅のコラボがなかなか美しい。
|
いよいよ忠別岳ともお別れだ、ここから見る頂きは裏が崖になっているとは想像も付かない山容だ。
またいつ来れるだろうか、真っ赤に色づくウラシマツツジが一面に広がる景色の中をちんたら下った。
|
1700mの急なガレ場からは北大雪と東大雪の眺望が良く、 武利・武華山、北見富士、三国山、音更山、石狩岳、ニペソツ山、丸山を一望する。 展望はそれが最後であとは背丈を超える笹と灌木帯に忍耐の歩みが続く。 今回たまたま笹狩りされたばかりでスムーズに下れたが、 藪の状況次第で2-3時間余計に掛かっていたかも知れない。 思いもよらぬ沢からの忠別岳、また地図に載ってないシビナイコースを下ることが出来て感謝である。 天気も何とか持って満足のゆく山行だった。 |