広い裾野に槍の様に突き出た十勝連峰第二位の美瑛岳は隣に十勝岳が無ければそれと見間違うほど容姿が似ている。
山麓には樹林帯が広がり山頂近くまで植生が続いて殺伐とした十勝岳の風景に比べると優しさが感じられる。
この山に登ったのは登山道からと東西を流れる三つの沢からで雪の時期はなく楽しみである。
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早々と熊の足跡に出迎えられ遠い美瑛岳を目指した 左が美瑛富士、右が美瑛岳、山頂までなだらかで広大な斜面が延々と続く、帰りのスキーが待ち遠しい!
久しぶりに通った白金温泉だが昔泊まったホテルが閉館していてちょっと寂しい。
大雪青年の家の先にある施設に止めると日曜日にもかかわらず職員が出てきたので断りを入れ、
そそくさと身支度を済ませて出発した。
昨日と思われる単独のトレースがアバレ川沿いの林道に延びそれを何度も跨ぐように熊の足跡が付いていた。
護岸工事のおまけらしき東屋にはまだ2mの雪が載って重そうだ。
林道はすぐ右岸に渡るが何処が橋だか分からぬまま雪で埋まった沢を越えた。
更にもう一本小沢を越えたところで林道と別れ涸沢との間の尾根に取り付いた。
昨日の富良野岳の疲れがしっかり足に残っているが二日間同じメンバーで幸いだ。
朝から日差しが強く木陰を選ぶように樹林の中を進むと突然小山のような
開けた斜面が現れた。
ポコだったら巻いてしまおうと思ったがこれから長く続く尾根の始まりだった。
そして急斜面を登り切ると青空の下に美瑛岳の大斜面が望まれ思わず歓声が上がった。
右に噴煙を上げる十勝岳と左にどっしりした美瑛富士が並んで眩しい程の景観である。
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白い十勝岳と富良野岳を眺めて大休憩、全てが眩しい 美瑛岳がお初のKさんはすこぶるご機嫌な様子だ 雪の美瑛岳直下は荒々しく凄みのある景観だった
尾根は1200mを過ぎると木立が無く如何に風の強い場所かが想像できる。
今日はシャツ一枚で丁度良くサングラスを忘れたK倉さんの目がやられないか心配だった。
青い空と白い山も見慣れてくると飽きがきて山頂展望と下りを楽しみに歩を進める。
傾斜が増すとシュカブラや凹凸が目立つようになり雪の豊富な沢筋に進路を選んだ。
山頂まで300mを切ったがいま一つ迫力を欠きあれはニセピークじゃないかと思えてきた。
クラストした斜面をシールのまま登ってツボになる。
アイゼンを付け数十mステップを刻むと氷雪に覆われた狭い山頂だった。
南側はポンピ沢の源頭が荒々しく落ち込み、十勝岳から続く白い稜線はまだ冬の様相を見せていた。
展望は昨日の富良野岳より優れ、
ニペソツ、石狩岳など東大雪の山々、トムラウシ、旭岳、白雲岳など表大雪、オプタテ、十勝岳など
いずれもまだ真っ白で実に良い眺めである。
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長がい斜面を見ながら足取りも軽い、滑降がたのしみ ほぼ山頂下より長大なオープン斜面を滑降する 青空の下にこれぞ春スキーの醍醐味を満喫しました
デポ地に下って早々とスキーで滑降を開始した。
登った尾根筋でなく雪面の滑らかな広い沢形にルートを求めると
続く続く!途切れることなく3km余りに渡ってオープン斜面が繋がる。
しかも適度に雪が緩んで頬が緩みっぱなしだ。
唯一テレマーカーのO屋さんは我流で覚えたというが優雅な滑りが一番映えていた。
これほど長い斜面を滑るのは初めてで想像以上のユートピアゲレンデに大満足だった。
今回は地元のメンバーも感心するほど好条件だったようだ。
春とは言えいつもクラストしてたり強風でなかなか山頂を踏むのが難しい山とのことだ。
また「冬期のパウダーも良いですよ」とのこと一度ラッセル要員でご相伴に預かりたいものである。
たっぷり登ってたっぷり滑ってたっぷり飲んだ二日間だった。
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<昨日の 富良野岳〜原始ケ原〜前富良野岳(山スキー)はこちら>