穴滝〜松倉岩 711m (小樽市・赤井川村)  地図はこちら  ■Home
2013年6月16日 晴れ時々曇り メンバー4名
9:20林道c350m→(9:45-10:00)穴滝→(12:05-12:50)松倉岩→15:05林道

小樽市郊外の穴滝〜小樽峠〜松倉岩を見学し、少し欲張って 遠藤山〜天狗山から戻ってみることにした。 これらは小樽市南方に広がる高原状の山並みの中にあって、 それぞれの位置関係は <小樽市自然散策マップ> が分かり易い。 その中で特に気になるのは市街地から天狗山と毛無山の間に望まれるネコの耳のような松倉岩である。 何でも結構ひやひやする岩登りらしいが眺めが最高と聞き大いに興味をそそられた。



                    



昨日の雨ですっきりした青空が広がっているものの寝不足と飲み過ぎでまだ頭が回らない。 予めロープウェイ乗り場に1台デポし、数km先の奥沢水源地へ向かうと 林道口に「天狗山11.3km、穴滝4.5km、松倉岩9.4km」の標柱が立っていた。 はたして車が何処まで入れるか?ゲートからまともに歩いたのでは天狗山から帰るなど論外である。 その思いが通じたか1kmほど先にあるゲートが開いていた! しめしめこれですんなり松倉岩の近くまで行ける筈だ。 ところが調子良かったのも束の間、道が荒れ出すと穴滝分岐の手前に崩落箇所があり車を止めた。 分岐の標識から引き算すれば松倉岩まで5.4kmもあることが分かりガックリする。

         
                    



林道から沢沿いの小道を進むんで間もなく頭上の幹に穴滝と遠藤山の標識が取り付けられていた。 遠藤山への道は右のやや鬱蒼とした斜面に延びてるが思ったより明瞭そうである。 穴滝へは沢の左岸を進み、所々ぬかるんで長靴向きの道だったがひんやりして気持ちが良い。 道脇にはスミレ、ニリンソウ、シラネアオイなど春の花が目立ち、 滝が近づくとエンゴサク、カタクリ、ヤチブキ、サンカヨウ、エンレイソウなどが目を楽しませてくれた。

         
                    



途中で若者グループと行き交う、新緑が似合ってすがすがしい。 ここには登山者の他に一般人も見物に来るので服装にもちゃんと気を配りたいところだが足回りが地下足袋ではどうしようもない。 前に来たことのあるkaさんに依ると穴滝周辺にクレソンが群生してたらしいが全く見当たらなかった。 人が入り過ぎて取られてしまったのではと言うが、 流木を見ると近頃の大雨で流されてしまったのかも知れない。 今日も前日の雨で水が多そうだと思ったら右から支流が入っていた。 そして足元を気を取られながら進むと何やら黒い洞窟が目に入った。

         
                    



これが話に聞く穴滝か!初めての御対面にkiさんも、N子も興味津々である。 中に入ると涼しい風とマイナスイオンに包まれ何か神聖な場所のように感じられる。 写真だけではどんな感じか分からなかったが現物を前に納得する。 うまく説明できないが大きな洞窟の奥に高さ数m程の垂滝が豪快に流れ落ち、 その水が洞窟の中を流れて実に神秘的な空間を醸し出していた。

         
                    



この滝は裏側に回り込むことができ、水のカーテンから見る景色が素晴らしい! また暗い洞窟の中から仰ぐ木々の青葉も言葉で言い表せないほど鮮やかだったが、 持参のへなちょこカメラではその光景を写しきれないのが悔やまれる。 そして滝の傍から見ると洞窟の大きさやビロードに輝く壁面の美しさが良く分かる。 いかにも縄文人とか修行僧が好みそうでkiさんが無性に泊まりたがっていたが 流石に付き合うのは勘弁である。 じっとしてると寒くなるほどだから涼みに来るには良いかも知れない、 また紅葉の穴滝も気になるところである。

         
                    



分岐に戻り小樽峠を目指して緩やかな林道を歩く。 道の状態が良いだけにRV車の轍を見るたびあの路肩さえ通れたらと惜しまれる。 だがここは赤井川に入植した開拓者が通った古の道だから先達の苦労を偲ばねばならない。 ブヨを払い汗を拭いながら歩いてると後から車の音が聞こえ、 チクショーと思ったら山菜採りのおじさんがバイクで追い越していった。 林道からの展望は樹木が邪魔してあまり良くない。 たまに阿女鱒岳方面の山並みが見えるだけだったが送電線下の刈分けから羊蹄山が綺麗に望まれた。 そして漸く小樽峠の分岐に到着、右は赤井川へ通じる本道でこちっの方が良い道である。 松倉岩へは左の支道を行く、林道は松倉岩の裾を巻き終端に立派な標識が立っていた。


         
                    



標識からは小路が整備され突き当たりが松倉鉱山(昭和10年-46年)の跡地である。 ここでは主にバリウムを産出し戦前は軍事用として、 戦後はX線造影材として国内需要の大半を賄ったとのことである。 今は建物の残骸も無いが廃坑して40年も経つのに幼木しか生えてないのは気になるところ、 そしてよくこんな山奥に鉱脈を見付けたものだと感心する。 ジャングルのような潅木帯の中にはピンクテープが付けられ、 程なくムラサキヤシオの花と共に大きな岩峰が現れたがこれは松倉の前衛峰だった。


         
                    



ここから背丈以上の湿った大岩がゴロゴロし始める。 苔の生えた岩窪や大きな落とし穴を縫うように進むと忽然と岩塔の基部に到着した。 松倉岩は割とこじんまりした感じだが、 何処がピークで何処から登ればいいのかあまりに近過ぎて全体像が掴めない。 何となく雰囲気的に右に廻り込むと恐竜みたいに横に長い岩峰なのが分かる。 尻尾に辿り着くと登り易い感じになっていて、 昨日赤岩でクライミングした成果もあり、 これくらいなんのなんのって感じで岩に取り付いた。


         
                    



手掛かりの多いしっかりした岩だがちょっと登っただけで急に足元がスカスカして高度感を伴ってくる。 適当な潅木が無いので確保もできず、もし落ちたらと思うと緊張するが、 かと言って止めて戻る程でもないのが微妙なところである。 勿論景色を楽しんでる余裕はなく一歩づつ確実に登るだけ、 そしていよいよピークが近づくと「飛騨泣き」ならぬさしずめ「松倉泣き」とでも言おうか狭い岩場が現れる。 時々すっぱり切れ落ちた下の様子が垣間見え、カメラを突き出して写真を撮ってみたりするがあまり気持ちの良いとろではなかった。


         
                    



「松倉泣き」の途中まできて「戻ってもいい?」と言い出すN子だったがここまで来たら登り切ってもらうしかない。 下りはその時に考えることにしてとりあえず鉄パイプの打ち込まれた突端の岩に上がってみる。 立ち上がると三方が崖で足下がむずむずして落ち着かないが、 隣のkaさんは高い所が好きらしく嬉々としているのに驚く。 若干もやってるが小樽市街を始め周囲の山々の展望が素晴らしい。 森の中の塔楼という感じで見渡す限り新緑が広がっていた。 さて登りより下りが大変である。 がちがちに固まってしまったN子は足の置き場を誘導されながら何とか降りたものの暫く震えが止まらい。


         
                    



岩の下でランチをご馳走になり漸く一息付く、 少しなめて掛かった松倉岩だったがそんなこんなで結構ヒヤヒヤ楽しませて貰らった。 「怖くて内臓がどうにかなりそうだった」と乙女に戻ったN子だったが 帰りの林道ではしっかりウドおばさんに様変わりしている。 もっとも一番の収獲者は断トツkaさんで、 結局、遠藤山〜天狗山は時間切れとなり重たいウドを担いでテクテク往路を戻った。


         
























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