阿女鱒岳〜余市岳は暖めてきた縦走ルートでラッセルのない今頃が狙い時である。
延長は22kmあまり、無理すれば日帰りも可能と思われるがのんびり一泊でやりたい所である。
縦走を楽しむ為には天気でなければならないが予報もまずまずで良い山行になりそうな気がする。
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初ピークを踏んでご機嫌の二人、無事に帰ってね 広い尾根を余市岳に向ってテクテク歩き出す 尾根が少し細くなり始める、大方歩き易い陵線だ
初日は縦走男子3名に阿女鱒岳に登ってみたいと言う女子2名が同行する。
帰りが不安だと言う日帰り組に合わせ出発を早めた。
その為、テン場では時間を余すだろうからお酒はたっぷり担がねばならない。
落合の林道口はスノーモービルが入るのか広く除雪されていた。
モービルの跡は550mの林道分岐まで続いたが尾根に取り付いてからは古いスキーのトレースがあるのみで静かな山である。
何年か前に一度歩いた地形を思い出しポコを巻くなどして順調にルートを辿った。
時々吹雪かれ良くも悪くもない天気の中をほぼ予定通り阿女鱒岳に到着する。
4名が初ピークを踏んで大喜びし余市岳と無意根山が見える風下で休憩を取った。
心細げな日帰り組を見送って少し気が軽くなり、いよいよ未踏の稜線に心が躍る。
のっぺりした尾根を淡々と歩くと背の低い木に誰が付けたか古びたテープが結ばれていた。
予定だったテン場1036ポコを過ぎると尾根が細くなって稜線らしくなってきた。
右に見える山並みは無意根山へと続く主陵線でこちら側から眺めるのは初めてのような気がする。
その中に一際目を引く岩峰があり調べると三等三角点の岩倉山1130.1mだった。
さてこれ以上先に進んでも良いテン場があるか一抹の不安もあり1116mポコの北斜面にテントを張った。
明日辿る予定の尾根に驚くばかりのでかい雪庇が張り出していた。
ロング缶14本、濃い酒1リットルが3人のノルマだったが早目にカレーシチューを食ったのが裏目に出てぜんぜん酒が進まない。
日が暮れると正面にゲレンデの灯りが見え左に照らされてる山がイレブンセブンだと気付くと急に俗化された気分になった。
18時前に一人が寝袋に入ると立て続けに残る一人も寝てしまい仕方なく20時半まで独酌するがもう限界だ(good night)
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期待通りの好天に恵まれ縦走の醍醐味を堪能した この主陵線を登り切ると大きな山頂部が現れる キロロスキー場からは辿りし尾根が遠望できた
ブロック積みを怠ったせいか夜中は風がテントを揺すり寒くて何度も目が覚めた。
私はスキーが飛ばされないか心配だったが一人は後ろの大木が倒れてこないか心配だった言うので可笑しい。
思い通りにならぬ天気に5時半までふて寝するとようやく風の収まる気配がして遅い朝支度を始める。
昨夜余った3本を空にして薄曇りの中を出発した。
細い尾根の左にずっと雪庇が続きポコの登り下りを繰り返すうち天気がみるみる回復し青空が広がった。
天気一つで景色も気分もがらっと変わり、新雪で勿体い程の好斜面が目に入る。
そして余市岳の主陵線に合流すると眼前にでっかい山頂部が現れた。
右は白井川の広い源頭で弧を描くように大きな雪庇が発達している。
これをかすめるように横切っていよいよ山頂へ最後の直登が始まった。
標高差200mのガリガリ斜面は歩行アイゼンが欲しいほど急で気が抜けず、ようやく着いた山頂から暫し展望を楽しんだ。
ここから見える阿女鱒岳は辿ってきた者にしか分からぬほど目立たぬ頂だった。
シールを外してガリガリ斜面を下ると程なくボーダーやスキーヤーがぞろぞろやってきた。
肩付近から北斜面を滑降すると雪質が上々で大満足する。
ゲレンデからは辿った尾根と雪庇の淵に自分達のトレースが見える。
車を回収し赤井川温泉でさっぱりして楽しい山行を終えた。
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