赤石川遡行〜黒岳・稜雲岳
1984m・2125m (上川町)
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2011年9月下旬 晴れ メンバー4名
9/24 晴れ時々曇り 5:45紅葉滝→7:45入渓→9:10函終点→12:50ヤスヤスの滝→16:10飛竜ノ滝→17:45黒岳石室
9/25 晴れ 7:20黒岳石室→7:40桂月岳→(8:00-8:10)黒岳石室→(9:15-9:25)陵雲岳→10:20黒岳石室
北海道の屋根と呼ばれる大雪山の裾野には幾筋もの渓が刻まれ、
バリエーションに富んだ沢登りルートとして紹介されている。
美しい滑を楽しむものから急峻な渓谷を攀じるものまで実に様々だがスケールの大きさと雄大な源頭風景が特徴と言える。
お鉢平に端を発し層雲峡へ流れる赤石川もその一つで黒岳やロープウェイから垣間見える深い沢筋は遡行の厳しさを想像させるに十分である。
今回は未遡行の沢から紅葉真っ盛りの大雪山を目論むが日の短かさと初雪の便りが若干気掛かりだった。
紅葉滝2段10m、滝見物だけで帰りたくなる景観だった 回廊の中の滝を越える、白濁する下の釜が気になる
見事な回廊だが堪能する余裕はなく早く抜けたい一心だ
9/24早朝、日赤診療所跡から散策路を赤石川に向かった。
20分ほど歩くと観光名所の紅葉滝がありこの沢の出合となる。
柱状節理の断崖に囲まれたこの滝からは水が勢いよく噴流し、
すぐに入渓が許されないばかりか見てるだけで気持ちが負けそうになる景観だった。
左岸より高巻くと所々に岩が出て高みに追いやられ覚悟はしてたが
初っ端からシビアな登行を強いられる。
たった一つ滝を越えるのに2時間もかかり喉からからで滝上に降り立った。
ちなみにお鉢の水は有毒とのことだがそれほどまずくない。
さてそこからは見上げる高さの函地形がまるで回廊のように続き不気味な美しさを放っている。
ゾクゾクしながら中にある釜や小滝を越えると白泡渦巻く釜滝に長さ10mほどの倒木が掛かっていた。
これにまたがりズリズリ滝を登ったものの、函のどんづまりで待ち構える樋滝を越えられず
結局この函を半分ほど戻った所から高巻いた。
函を過ぎると徐々に沢が開けるが徒渉は膝くらいの水位でも足がすくわれそうで緊張する。
へつりと滝を幾つか越えると流れの強い函で一瞬行き詰まった。
Kuさんが左岸数mの岩壁に残置ハーケンを見付けたが簡単にすっぽ抜け、場所を変えて打ち直しロープで抜ける。
後にも先にも人跡を見たのはこれだけだった。
函を抜けほっとする間もなく滝や釜を越えてゆく 全容を見せぬヤスヤスの滝、6段の3-4段目と思われる
巨岩の滝群に四苦八苦しながら標高を稼いだ
少し遡行を楽しむ余裕も出てきたが何せ距離が稼げず時間ばかり気になる。
暫くするとV字谷の奥に白煙を上げ数段に連なるヤスヤスの滝が望まれた。
この滝はあまりに巨大でわざわざ滝下まで行く時間が勿体無く、早々右岸のルンゼより高巻きを開始する。
高所より小尾根を下降すると沢の上部にヤスヤスの最上段と思える滝が見え、再び登り返し最後abで沢に降りた。
約1時間の大高巻きだったが割とすんなりという印象である。
これを過ぎると巨岩の滝群が続き、やがて所々にテンバになる平地も現れ平和な渓相となる。
そして一面錦絵の如く紅葉する谷間の向こうに白く落ちる大滝が目に留まった。
初め側壁から垂れる支流だろうと思って近づくと1800mにある飛竜ノ滝である。
40mの断崖から飛沫を上げ更に数十mの斜滝が連なる様は圧巻だ。
基部には万年雪と思われる大雪渓が残り、8月ならまだ一帯を埋め尽くしていると思われる。
ここは右岸の潅木帯を漕ぎ更にハイマツと岩陵との境を50分のアルバイトで抜ける。
いよいよ日暮れが気になってしょうがない、
もう滝など出ないでおくれと願いながら歩くと程なく草原の美ヶ原に出てホット胸を撫で下ろした。
従走路から15分で黒岳のテンバに到着、前日降った大雪山の初雪が解けず寒くて堪らない。
着替えてテントに入り乾杯したがぶるぶる震えるN子さんにはビールより熱々のインスタントラーメンの方がご馳走のようだ。
焼酎のお湯割りが体に染みるとやっと人心地が付いた感じになる。
終始時間に追われ緊張感の伴う遡行だったが何とも心地よい疲労感に浸った。
断崖に水飛沫を上げる飛竜ノ滝、右岸高巻きに消耗 翌朝、冷え込んで霜の降りた黒岳テンバと稜雲岳
ガレの凡々たる稜雲岳山頂からの展望が新鮮だった
9/25 朝起きると霜で一面白く、外にほったらかした沢靴がカチカチに凍っていた。
空身で桂月岳に登ったがやはり物足りないので以前登り損ねた陵雲岳に寄ってみることにした。
この山は黒岳からよく目立って気になる存在だが登山路がなく残雪期に登るのが一般的である。
また裏側からでも登らない限り全てまる見えなので風のように登って下らなければいけない。
冗談はさておき、前回もろハイマツ漕ぎで失敗した経緯がありルート取りが肝心である。
沢地形の南面に回り込むとガレと草付きでどうやら山頂まで藪漕ぎは無さそうである。
終始ナキウサギの声が止まず、やがて桂月岳と黒岳の高さを越えると呆気なく山頂に到着する。
平坦なガレの頂には古い三角点と標木があり、周囲にはケルンが積まれそれなりに登られてる風だった。
雪の残るお鉢平の山々には残念ながら雲が掛かり始めたが北大雪の展望はすこぶる良かった。
石室に戻って黒岳に向うと初冠雪と紅葉に誘われた大勢の登山者で賑わっている。
山頂からは赤く彩られた山腹に雪渓と飛竜ノ滝が望まれ、またロープウェイからは裾野に刻まれた赤石川の渓谷を眺め遡行の余韻に耽った。