アバレ川〜美瑛岳 2052m(十勝連峰・美瑛町)   ■Home
2010年8月中旬 晴れ メンバー3名
5:35駐車場→5:50入渓→8:25・1250m二股→9:10勝瑛ノ滝→9:40従走路→(11:30-11:45)美瑛岳→(12:40-12:55)非難小屋→15:00駐車場


十勝連峰は火山礫の山というイメージが強いせいか名渓と呼ばれる沢が一つも思い浮かばない。 一部を除いて大半が涸れ沢やガレ沢ばかりと思っていたが今回この沢を遡行して少し考えが変わった。 記録も遡行した話さえ聞いたことのない沢だったが拾い物でもしたような面白い沢だった。

 緑の回廊を遡るとゴルジュあり小滝ありでワクワク   苔生した中小の滝がぞくぞく現れ全く退屈しない  つるつるに磨かれた岩盤が特徴的、ぬめりが無く快適だ
前夜、星の降る望岳台にテントを張った。 翌日は快晴、白金温泉に移動し登山口駐車場より林道を出発する。 目指す沢は「涸沢川」で歩いてすぐ水が一滴もない暗い渓と出合う。 想像とはあまりにも乖離し「まさかこれじゃないよね」「こんなわけないべや」と言いながらやり過ごした。 程なく水が流れる暗渠の沢とご対面、これを涸沢川と思い込んで入渓する。 右岸の作業道から砂防を3つ過ごすとすぐ5mの滝があり巻いて越える。 小さく見えた沢だが結構な水量で苔むした綺麗な渓相に気を良くする。 先々の期待を持たせるがやっぱり何か変だ?用足しの間に地図を確認した二人がニヤニヤしながら言った。 「山ちゃん、これアバレ川だわ」やっぱり一本行き過ぎたか、苦笑いするしかない。 まだリセット可能だったがあの涸れた渓に戻る気がせずこのまま行ってみるべということになった。 同じ山域の隣同士で片や水が流れ片や涸れているのは不思議である。 気を取り直して遡行を続けると序盤からゴルジュが迎え、緑の回廊が連なって苔の洞門を彷彿させる。 つるつるに磨かれた岩と狭く屈曲した樋状の流れの先に小滝が水を勢い良く噴流する。 そんな繰り返しがずっとずっと続いて退屈しない。 今のところ大きな滝は出てこないがハングったものや背の立たない釜もあり流心からの直登は容易でない。 先頭を行くTさんと続くCちゃんは安全第一で巻くが濡れても冷たくないので極力水中を行った。 切れ目のない樋と滝に「流石にアバレ川だけあるわ」とTさんの言葉に頷ける。 ただ一たび雨でも降ろうものなら忽ち始末の悪い沢に変身しそうだった。

連携で大岩を越える、人跡は全く見られない     中盤過ぎまでくねくねした滑滝が延々と続いた     終盤に差し掛かる、断崖地形を高巻いて越える
中盤より空が開け沢中に日が射し込むと水がキラキラ輝いて眩しい。 青空の向こうに美瑛岳の山並みが望まれ暫くありふれた渓相に戻った。 目を凝らすと前方の大壁に一条の流が見え、何だかとてつもない大滝を予感させる。 淡々と遡行を続けc1250m二股を過ぎると再び黒光りする滑り台のような滝群が出始めた。 そして断崖地形が囲む勝瑛ノ滝・20mが現れる。 この大滝を前に左岸壁からすだれ状の滝が合流し、大滝右岸のガレの中から本流と同じ量の水が噴流し面白い光景である。 このガレから巻いて大滝の上に出るとおやおや今度はクリーム色の滑が続くではないか! ペロンとした小滝と釜が連続し夢中で遡ると「何だこりゃ?テープがあるぞ」とTさんが叫ぶ。 人の入る沢でもあるまいし訳が分からなかったが傍に従走路を示す標識が立って納得した。 さてこのまま沢を詰めるか登山路を歩くかの問いにCちゃんは「私はもう此処で十分よ」との返事である。 登山路を登り中腹より沢筋を眺めると上流はガレガレで、あのまま詰めたら崖にぶち当たっていたかも知れない。 素直に女性の言葉に従い正解だった。 途中からCちゃん一人がこの界隈で唯一未踏という美瑛富士に向かい男二人は美瑛岳に登った。

 <2010後日遡行した隣の涸沢川より美瑛富士はこちら>  
 <2011アバレ川(再訪)〜望岳台はこちら>

勝瑛ノ滝・20m、イワツバメが飛び交っていた     大滝の上に出ても更なる滑が続いて呆れかえる     従走路の途中から辿ってきたアバレ川を遠望
アバレ川はポンピ沢に名を変えガレの源頭へ    この時期、登山路で一番目に付いたリンドウの花     美瑛岳山頂は近い、下りの登山路が長かった


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